「家を建てる土地」といえば平らな土地が一般的にイメージできますが、なかには「道路と高低差がある」「敷地の片側が崖になっている」など平坦ではない土地もあります。このように片側が“斜め”の土地は、メリットの裏側に無視できないデメリットも存在します。知らないまま売買契約を結ばないためには、両方をきちんと理解しておくべき。後悔のない住まいづくりをしましょう。
◆平らな土地とは何が違う?
敷地の片側に斜面があり、その部分を擁壁で覆われているのが法地や崖地、傾斜地。細かく定義分けされているわけではありませんが、土を切ったり盛ったりしているのが「法地」、片側が擁壁でカバーされているのを「崖地」ということが多いです。
◆傾斜地の魅力は日当たり&眺望
傾斜地に家を建てると、擁壁側から見える景色は魅力的です。崖下が道路になっていても、高低差があるため通行人の目を気にする必要もありません。カーテンを開けて光を採りいれたり、窓を開けて自然の風を感じたりなど、マンション風の気分が味わえるかもしれませんね。
◆注意ポイントはきちんと理解しておくべき
土地を切盛りするので、地盤に心配が残るケースがあります。
切土の場合はそれほど弱い地盤のことは少ないですが、そもそも水分が多く含まれている「田」として使われていたような土地へ盛土をしていると地盤が弱い可能性があります。
また、ひとつの土地で切ったり盛ったりなどされていれば、強度の違う土がブレンドされていることになります。敷地のなかで部分的に「強い」「弱い」があるため安定性が低め。年数が経っていくことで、水面下で建物が沈んでいく現象“不同沈下”が起こるリスクも考えられます。
そして、傾斜地につきものの擁壁は、メンテナンスしていかなければなりません。水抜き穴の詰まりや擁壁のひび割れは日頃からチェックするべきでしょう。土地に溜まった雨水を吐出す水抜き穴があるのが一般的ですが、目詰まりを起こしていると土壌から水分が抜けずに地盤が弱くなってきます。
また、土地が崩れないような役割を持つ擁壁ですが、しっかり設置されていなければ本来の機能を果たしてくれません。古い時代に設置されたものは現在の法にそぐわないケースもあるので注意が必要です。
◆まとめ
片側が法面になっている傾斜地は、一般的にはお得に購入できるかもしれません。開放感のある風景に憧れを持つ人には、魅力的な物件になりそうですね。
ただ、「眺望が綺麗でお買い得なのは魅力的!」と簡単に購入するのは後悔のもと。「切土でできたのか・盛土でできたのか」という土地の歴史は、地盤の軟弱さにも関わることなので知っておいた方がいいですよね。さらに、擁壁の機能性にも注目した方がいいでしょう。
地盤や擁壁のことは、なかなか分かりにくい点が多いものです。住んでから後悔することのないように、不安な面は専門家に相談することが大事。曖昧なまま購入を急がないようにしましょう。